年収の壁シリーズ②「私の会社は入れるの?社会保険の『適用事業所』って何?」
- honnetesr

- 2月9日
- 読了時間: 5分
更新日:2月17日
こんにちは!社会保険労務士の原です。 前回のコラムでは、社会保険が「人生を支える心強いお守り」だというお話をしました。
それを読んで、「よし、私も入ろう!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。でも、実は本人の意思だけでなく、「働いている会社が社会保険のルールに当てはまっているか」も重要なんです。
今回は、社会保険に加入する義務がある会社、通称「適用事業所(てきようじぎょうしょ)」─ 社会保険に“入らなければいけない会社”のこと ─について、分かりやすく解説します!
■ 「強制」と「任意」があるの?
まず知っておきたいのは、会社には大きく分けて2つのタイプがあるということです。
強制適用事業所:法律で「必ず社会保険に入らなければならない」と決まっている会社。
任意適用事業所:法律上の義務はないけれど、従業員の同意を得て「あえて入っている」会社。
世の中の多くの会社は、1.の「強制適用事業所」に当たります。
■ 「法人」なら、社長一人でも強制加入!
株式会社、合同会社などの「法人」であれば、たとえ社長一人だけの会社であっても、強制的に社会保険に入ることになっています。 よく「うちは家族経営の小さな株式会社だから、社会保険は関係ないよね」と思われがちですが、実は法律上は「社長一人でも社会保険の対象」なんです。

■ 個人事業所の場合は「人数」と「業種」がカギ
法人の形をとっていない個人事業(お店や個人事務所など)の場合は、少しルールが違います。
従業員が5人以上いる場合:原則として強制加入です。
従業員が5人未満の場合:基本的には加入の義務はありません。
ただし!飲食業、理美容業、クリーニング業などの特定のサービス業や農業などは、5人以上であっても法律上「非適用業種」とされているものもあり、少し細かいルールもあります。
【個人事業で「任意適用」になる主な業種】
サービス業: 飲食店、理容・美容院、クリーニング店、旅館など
農林水産業: 農業、畜産業、水産業など
自由業: 弁護士、税理士、社会保険労務士などの士業事務所
その他: 神社やお寺などの宗教関係
※これら以外の業種(製造業や卸売・小売業など)は、個人事業でも5人以上いれば強制適用になります。


実はここで、大切なお知らせがあります。 今は「5人以上の個人事業所でも、一部の業種(飲食や美容など)は社会保険に入らなくてもいい」というルールがありますが、2029年10月からはこの例外がなくなることが決まりました。
つまり、数年後には「5人以上働いているお店や事務所は、業種に関係なくみんな社会保険に入る」という、より多くの方が社会保険に加入できる仕組みに変わっていく予定です。「私の職場はどうかな?」と気になる方は、今から少しずつ意識しておくと良いかもしれませんね。
■ 「うちの会社はどうかな?」と思ったら
「自分の職場が社会保険に入れるのかどうか知りたい」という時は、現在の状況に合わせて以下のポイントをチェックしてみてください。
これから仕事を探す方: 求人票の福利厚生欄に「社会保険完備」と記載されているかを確認しましょう。
いま働いている方: まずはお手元の給与明細を見てみてください。「健康保険料」や「厚生年金保険料」という項目で金額が引かれていれば、加入している証拠です。
確認してもよく分からない時: 社長さんや、経理・総務の担当の方に直接聞いてみるのが一番確実です。小さな会社であれば、社長さんが直接手続きをしていることも多いですよ。
『自分の会社はどうなんだろう?』と思ったら、厚生労働省の特設サイトにある診断ツールを活用してみてください。
■ 「うちは対象外だった…」とガッカリした方へ
「調べてみたら、うちは5人未満の個人事業所だったから社会保険に入っていなかった!そんな~」となった方、安心してください。実は、会社が「あえて」社会保険に加入する方法もあるんです。
法律で義務づけられていない会社(任意適用事業所)であっても、国(厚生労働大臣)の認可を受ければ、適用事業所になることができます。
ただし、これにはルールがあります。 事業主(社長さんなど)が、そこで働く従業員の「2分の1以上」の同意を得て申請し、厚生労働大臣(年金事務所)の認可を受けることが必要です。任意適用を選ぶ理由は、従業員の定着や福利厚生の充実を目的とするケースが多いです。
従業員の2分の1以上の同意が必要ですが、これは「申請できる条件」です。同意が集まったからといって、会社に加入の義務が生じるわけではない点には注意が必要です。
なお、申請すれば必ず認可されるわけではなく、事業の実態などを確認したうえで判断されます。
任意適用を選ぶ理由は、従業員の定着や目的とするケースが多いです。また、任意適用で社会保険に加入した場合でも、原則として簡単に脱退できるものではありません。

※同意の取り方や人数の数え方には、実務上いくつか注意点があります。
※ここでいう『従業員』には、正社員だけでなく、週の労働時間が正社員の4分の3以上の方なども含まれます。すべてのパート・アルバイトが対象になるわけではありません。
具体的な『対象になる人・ならない人』の基準については、次回の記事で詳しく解説しますね!
「みんなで社会保険に入って、もっと安心して働ける環境にしたい!」という声が多ければ、会社に相談してみる価値は十分にありますよ。
社会保険に入れる会社かどうかは、あなたの将来の保障に関わる大切なポイントです。 でも、会社が適用事業所だったとしても、働き方によっては加入対象にならない人もいるのが、社会保険の奥が深いところ……。
任意適用の具体的な申請書類や手続きのステップについては、日本年金機構のサイトで詳しく確認できます。
資料名: 日本年金機構|任意適用申請の手続き
次回は、「社会保険に加入できる人、できない人(短時間労働者の条件)」について深掘りしていきます!もっと全体像を知りたい方はこちらをどうぞ。
資料名: 社会保険適用拡大ガイドブック(従業員用)



